文賢のAI活用ポリシー
公開日:2023年5月31日
更新日:2023年8月7日
本ポリシーは、文賢の「AIアシスト(β版)」を開発するにあたり、私たち文賢チームが掲げたものです。
2022年11月にChatGPTが登場し、世の中で大きな話題になって以降、AIを活用した文章チェック機能は多くのユーザーさまからリクエストをいただいておりました。
AIは業務効率化に大きく役立つ反面、成長過程にある技術であり、活用にあたっての不安やリスクもあると認識しています。
文章作成アドバイスツール「文賢」にどのような形でAIを組み込むのがよいのか、慎重に議論を重ねた結果、私たちは以下のポリシーのもと、AIを活用した「AIアシスト(β版)」機能を追加することに決めました。
文賢における4つのAI活用ポリシー
本ポリシーが対象とするAIは、文賢の「AIアシスト(β版)」で使用しているOpenAI社の言語モデル「GPT-3.5」「GPT-4」です。
私たち文賢チームは、以下4つのポリシーに沿って、「AIアシスト(β版)」を開発しました。
- AIは万能ではないことを理解する
- 文章作成の主体は人間であり、支援的役割としてAIを活用する
- AIは”答え”をくれるものではなく、”考えるための視点”をくれるもの
- ユーザーさまの意思を尊重しながら、安心して利用できるツールにする
それぞれの項目について、私たちの考えを以下に詳しくお伝えします。
1.AIは万能ではないことを理解する
「AI」と聞くと、映画や小説に登場するような全知全能を思い浮かべるかもしれませんが、現時点では、なんでもできるわけではありません。
たとえば、文賢が「AIアシスト(β版)」で活用している言語モデルが生成する文章には、以下のような特徴があります(※2023年5月時点)。
●内容が正確とは限らない
大規模言語モデル(LLM)の原理は、「前の単語に続く単語を予測して出力する」ものです。そのため、不正確な文章が生成される可能性があります。
●最新の情報は反映されていない
「GPT-3.5」「GPT-4」は2021年9月までの学習データをもとに文章を生成します。
そのため、新しい出来事や最新の情報を踏まえて文章を生成することはできません。
●コンテクストを把握し、個別の最適解を出すことは難しい
AIが生成する文章は過去の学習データに基づいた一般論のため、個別の事象に最適な内容であるとは限りません。
また、入力されたデータに無い要素(文脈や背景など)をすべて考慮することはできません。
●生成する文章は毎回同じではない
AIに同じプロンプトで指示を出しても、生成される文章は毎回異なります。
特定のルールに厳格に従い、毎回まったく同じ文章を生成することはありません。
上記のような特徴があることをきちんと理解したうえで、私たちはAIを活用していく必要があると考えています。
AIは日々進化しているため、それを活用する私たちも常に学び続け、テクノロジーを適切に活用できるように努めます。
2.文章作成の主体は人間であり、支援的役割としてAIを活用する
私たちは、AIは人間の支援的役割であり、AIと人間はお互いの「得意」と「苦手」を補い合う良きパートナーだと考えています。
AI | 人間 | |
---|---|---|
得意 | 膨大な過去の学習データに基づいて、最大公約数的な視点で、文章の生成や改善のアドバイスができる。 | 個別具体的な事象に寄り添った文章が執筆できる。
個人の感情や意見、体験を言葉にできる。 |
苦手 | 個別具体的な事象に対して最適な対応が難しい。 感情や意見がなく、なにかを物理的に体験することはできない。 |
自分の価値観や経験した範囲内での言葉を使う傾向にあるため、他人を傷つけたり、誤解を与えたりする文章になっていることに気づかない場合がある。 |
過度にAIに依存することなく、文章作成をサポートしてくれるひとつの道具としてAIを活用することで、よりクリエイティブで質の高い文章作成が可能になります。
3.AIは“答え”をくれるものではなく、“考えるための視点”をくれるもの
私たちは、文章作成をAIに丸投げしたり、AIの回答をそのまま元の文章に反映したりするような機能は開発しません。
なぜなら、「きちんと自分の頭で考えて言葉を選んでほしい」と考えているからです。
文章作成において「こう書けば絶対に正解」という“答え”があるわけではありません。
同じ内容を伝えるにしても、相手や状況にあわせて適切な言葉を考え、選んでいく必要があります。
しかし、AIにはその人がどのような文脈の中で文章を書き、どんな相手に届けるのかまでは把握できません。
どの言葉を使うのかを決めるのは、人間にしかできないことだと私たちは考えています。
「AIアシスト(β版)」をはじめ、文賢に出てくるアドバイスは「本当にこの言葉で良いのか?」と“考えるための視点”として受け取っていただけたら幸いです。
4.ユーザーさまの意思を尊重しながら、安心して利用できるツールにする
AIを使用することに対する不安や懸念をできるだけ小さくするため、私たちはユーザーの皆さまとのコミュニケーションを大切にします。
ユーザーさまそれぞれが「AIアシスト(β版)」を使用するかどうかを判断し決定できるよう、ツール内でのわかりやすい説明を心がけています。
AIの活用については、各企業や個人によって、ポリシーやルールが異なるかと存じます。
それぞれのポリシーやルールに合わせて設定できるよう、管理者(オーナー)によるON・OFF機能も実装しました。
また、「AIアシスト(β版)」は、生成系AIの活用においてひとつのハードルであるプロンプトに関する知識がなくても、ボタンを押すだけで使える易しいUIを採用しました。
- もし「AIアシスト(β版)」に関してご不明な点がございましたら、こちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
- 万が一「AIアシスト(β版)」にて不適切なアドバイスが出てきた場合は、こちらの報告フォームからお知らせください。
文賢の「AIアシスト(β版)」はOpenAI社のAPIを利用した機能のため、文賢チームが調整できる範囲は限られていますが、いただいた報告をすべて確認し、できる限りの対応・対策を行います。
2023年5月のリリースを第1弾として、今後はさらに使いやすく進化していく予定ですので、次回以降のアップデートを楽しみにお待ちください。
「AIの進化によって、ライティングの仕事が奪われる」と言われたり、AIに代替される職種として執筆業が挙げられたりしています。
しかし、どれだけAIが進化しても「ライティングの仕事が無くなることはない」と私たちは考えています。
人間が文章を書く必要がなくなるのではなく、人間に求められる文章力が変わるのでしょう。
人の心に寄り添い、感情に働きかける文章は、人間にしか書けないものです。
なぜなら、人間には感情があり、個人の体験を言葉にできる力があるからです。
私たち文賢は、人間とAIによる文章の共創をサポートします。
AIを活用してライティングの可能性を広げたい。
そんな想いを込めて「AIアシスト(β版)」を開発しました。
私たちは、今後も上記のポリシーに沿って、AIアシスト(β版)および文賢をアップデートしていく予定です。
(※AIの技術革新や国際的な動向を踏まえ、必要に応じて改定する可能性があります)